2012年12月10日

○巨大過ぎるベネッセ〜学び直し2


フロントガラスに雪

雪を見ても
花を見ても

ベネッセを見ても?

〜〜〜〜

長すぎるウメコ日記


巨大すぎる受験産業ベネッセの

学び直しプログラム2

基礎学力の診断と行動特性の相関はウメコもこの3年くらいでずいぶん学習ができ
自分の実践にも反映することができました
その中で
ベネッセが学び直しプログラムを作ろうとしていることも知り見本が送られたりしたこともありました

対象は
D層です

義務教育レベルが定着できていない生徒たちの学びの基礎をどうつくるか

でマナトレという教材ができたようです
先日書いたようにウメコのクラス自体は受験組なので直接のニーズはありません
しかしウメコは授業でもちろん別のクラスも教えているのでD層の深刻さもわかります

それでも 義務教育範囲のスモールステップドリルはベネッセの教材マナトレ以外にもあるでしょうし
また例えば 四則計算などをどういう時間でやっていくのか
そういう種類の学びでどうやって彼らの関心事である定期テストの点数を取らせることにつないで行くのか
など あまり見えないので効果に懐疑的だったウメコです
ベネッセが次の商品を開発したんだね というだけでした

今回の学習会はいつものテストのデータ分析でした
その中でD層に言及するとき

学び直しプログラム
を少し紹介していました

〜とは言っても現場の先生方からこのような声も寄せられる
「生徒たちが小中レベル問題に取り組むのをいやがる」
「生徒たちはおおむね真面目に取り組んでいるがなかなか結果に結び付かない」

と聞いたとき
ウメコたちの教職員組合の学習会でもよく指摘される問題点であり「やっぱりね」と思ったことです
さらに

「学力向上にはそれぞれのフェーズがあるのではないか と考えられるのです」
(出ましたフェーズ、位相です。)
「縦軸に学力。横軸に学習姿勢。上方にあがるために、学力を上げるためには、学習姿勢の横軸が右移動する必要があるようです」
「現在のフェーズは、学習姿勢の育成だ、などと意識化することで道筋が見えてくるのではないでしょうか」

なるほどー でしたがその時は学び直しプログラム学習会ではなかったのでそれくらいでした

学習会終了後
やる気のない学力向上担当教員が、ベネッセからもらった「学び直しプログラム資料」をうちの部署に持ってきました(彼は読む気がないのです)
もちろんウメコは読むわけで

テンション

上がりました
さっきの学習会での フェーズの移動 の意味がクリアに語られていました
また 現象を緻密に検証していこうとする姿勢が圧巻でした

巨大すぎる受験産業ベネッセの知の集積を侮るなかれ! です

ベネッセの
プログラム開発にはかなりの資金が投入されているはずです
コケるわけにはいきません
コケないということは

・先ずプログラム導入校が増えること
・次に導入校が効果に一定の納得をしてお金を払い続けること
・そしてその効果や実績を根拠として導入校が増えること

です
ベネッセは受験産業 教育産業なわけですから
ベネッセの企業成功は子どもの学力獲得です
(真の学力論とは一線を画す、一面的な能力ではありますが、学力の一部であることは確かです)

開発した限り奴らは本気です
データ分析を徹底していて教訓を読み取っています
ベネッセの高3模擬試験受験者は40万を越しますから巨大な巨大なデータを彼らは持っているのです
そしてその分析力は圧巻です


「1年間かけて点数の上がった学校と上がらなかった学校のどこに違いがあるのか」

ベネッセの分析は

「学習姿勢の向上が見られるかどうか」

でした
ウメコたち教員も経験上そういった感覚はあります
しかし「学習姿勢」のようなボンヤリしたものをどう測るのか

質問項目を吟味し点数化していきます
大きく二つに分け それを構成する要素を三つ立てています

「生活面」〜出席・授業準備・提出物
「教科面」〜授業・定期試験・授業外学習

要素の獲得点数を1点から5点まで設定します
1点(やらないことが当たり前になっている)〜3点(言われたことはできている)〜5点(周囲のことも意識してできている)

これに沿って具体的な質問を作っていきます
例えば「生活面〜出席」
1点(遅刻欠席をするのが当たり前になっている)
2点(たまに遅刻欠席をしてしまうことがある)
3点(自力で起きられないこともあるが毎日遅刻せずに登校している)
4点(毎日自力で起きて、遅刻せずに登校している)
5点(毎日余裕を持って登校して、授業が始まる前に学習などに取り組んでいる)

例えば「教科面〜授業」
1点(別のことをしていたりして先生の話はほとんど聞けておらず、黒板も写していない)
2点(黒板を写すことに精いっぱいで先生の話を聞けていないことがある)
3点(先生の話を聞いて黒板を写している)
4点(先生の話を聞いて黒板に書かれていること以外にも重要な点のメモをとっている)
5点(復習しやすいようにノートをまとめ、わからないことは質問している)

などなどです
こういった「あるある!」質問を重ねていき
「D層脱出には生活面で一定のことができ、教科面において3点の項目が多くならないと難しい」
などの相関関係を弾き出しているのです

現場の教員は
生徒たちの生活上の問題も指導していますし
自己肯定感や規範順守の指向
「それがこの成績を生んでいるのよね」という認識もありますが
各々の教師の力量や良心に依拠するものであり、体系だったものになっていないのが実際です
(教育学や教育研究団体ではすぐれた集積があるのですが現場の大勢にはなっていません 残念です)
ベネッセの この項目立ては先ほども言ったように一面的なものでもありますが 一面を言い当てているということでもあります
何よりわかりやすく定量分析が可能で学校全体のベクトルが合わせやすいことがメリットです

「できることを1つでも足並みをそろえて」と良心的に管理職は教員に訴えるのですが
(あまり合意に達しません 投げかけられても決まりません いやになります これを決めるのが学力向上の会なんですけどね)
どうせやるなら科学的であってほしい
その目安の1つになると思いました

教科得点で区分けされたD3とD2にはどういった行動特性の違いが見られ、どのような出口(進路結果)になるのか
D層はなぜ脱出すべきなのか

もちろん個々の生徒には個々の状況があります
良心的な教員はそれと向かい合っています
その取り組みの指標の一つにもなるのではないでしょうか
ウメコたちは生徒に知性を醸成させる仕事をしているのですから
自分の指導が、その子の発達段階が、今どのフェーズ(!)に位置しているのか意識できれば焦りや諦めに克てるかもしれません
自分の無策を生徒の怠惰にかこつけてしまうことも避けられるかもしれません
私たちはプロなのだから
現場の臨床的ダイナミズムに基本を置いて、数値の功罪を理解し利用しながら
科学的道筋をもって教育をおこなえうべきでしょう

ちなみに
ウメコはこれに上位層分析を少ししてみました

AB層は生活面では0.1ポイントの差が教科面では0.2ポイント以上の差になっている
つまりAB層では「生活面」というより「教科面の行動特性」がA層とB層を分けている(これはベネッセが分析していた)
特に出席・提出物ではABともに差がほとんどないので「きちんと出席をし、提出物が普通に出ている」状態で仕上がりといえる

教科面では
授業・定期試験・授業外学習のすべてで、
B層は「英語と数学を同じ程度」取り組んでいるが
A層は授業・定期試験・授業外学習すべての項目で「数学よりも英語に顕著に」エネルギーを割いている

「英語を制する者は受験を制する」とはよく言ったものです
英語の先生にこれを伝えなくてはならないとテンションがさらに上がりましたね(甘い先生がいるんだよ)


昨年までのうちの上司がバリバリやっていた基礎学力向上の熱と
今年のグダグダ感を比べると
組織的に動かないと実効性にロスが出るということがはっきりわかります
ウメコのクラスの成績が上がってもです

先日の松田氏の「壁の中の腐敗としあわせ」と同じです
ウメコのクラスは 外の怠惰からうちの子を守るために教室の配置に強い希望を出しました
しかし松田氏の言うとおり 外の腐敗とうちの子たちは無縁ではいられませんでした
受験への取り組みにもロスがありますし、クラス指導や文化祭指導への横やりも止めることができませんでした

そうです
組織ごと動かさないと自分のクラスだけしあわせになるということはないのです



・・・・あーあ
こんなに長々真剣に日記を書いてしまったら
来年度は
「学力向上の長やります」って言わないといけなくなってしまいませんか
中位下位層対策は進路部の仕事じゃないんだけどなー
これだけまじめに書いたら 自分で自分を追い込んでしまうなー
うーん しかたないかなー
まー その役についたら皆にバリバリやってもらおーっと
で また敵が増えるんだ やだなー

長文ほんとうに!失礼しました
長くてウメコも疲れました
でも
記しておかないとと思ったし 伝えなくてはとも思ったわけです

来年もよいセンセーになりましょう
がおー










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Posted by umeco at 12:31│Comments(0)大家さん
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